一章

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 店を出た二人はテランの本店に向かう。 「まだ明るいから裏通りで近道して行くか」 「ふむ、折角早く終わりになったのだから、用事も早く終わらせたいしの」  夕方を過ぎれば暗くなりあまり治安の良くない裏通りだが、明るいうちなら大通りを抜けるより断然早い近道だ。  まあ、絡まれたとこでその辺のチンピラなんぞ敵ではないのだが。  問題は治安の善し悪しよりも、違反による停職処分中のエクシブがいざこざには巻き込まれることである。  だったら最初から通るな、と言いたいところではあるが、そんな代償を入れても魅力的な距離なのだ。  しかし──。  エクシブは後悔した。時間なんぞ気にせず、従来の道を通っておけば良かったのだ。  裏通りに入って真ん中あたりまで来たとき二人は囲まれていた。  気付いてはいたが、まさか自分達を獲物にする輩がいるとは思ってもみなかった。 「いよう、あんた女連れでここを通るって、どういうことかわかってるのかい?」  下品な笑い声をあげて囲い小さくしていく。  前後合わせて三人。
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