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20世紀末から起こったエコロジーブームも虚しく、地球上の七割の動植物が絶滅したといえよう。
それでも、まぁ、人間というものはしぶといもので、科学の廃棄物に埋もれるすさまじい環境の中で、地下へ宇宙へと人口増加を繰り返し続けた。
絶滅の危機にさらされる生物を救おうと考えた隆興が目を付けたのは、強靱な生命力を持つ人間そのものだった。人間と生物の遺伝子を交配させ、より生命力の強い生物を造り出そうとしたのである。
彼はまず、両手に余るほどの種を残して絶滅したネコ科の哺乳類の生き残りで、それもわずかに二桁の数にも満たないまでに激減していた「虎」の遺伝子を実験材料としたのだった。
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