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一人娘を亡くして……。
一人娘? 私は……。
ちがう。『あの子』がいたじゃないか。
何故忘れていたんだろうか。ついさっき、『あの子』のことを考えていたのに。頭の中に水を満たされたように、考えることが混濁している。
ああ、ちがう。忘れていたんじゃない。忘れようと努めていたんだ。死ぬ間際に思い出すなんて、私は。
なんて冷たい姉なんだろう。『あの子』は私が殺したようなものだ。
一度思い出すと、次々に記憶は蘇る。『あの子』はいつも、私の隣りにいた。
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