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あれは、ちょうど、今日のような天気の良い日だった。私は『あの子』と、小学校の裏山で遊んでいた。二つの虫かごにはカブトムシが一匹ずつ。1日かかってやっと捕まえたんだった。
暑くて暑くて、汗で服が肌に張り付き、気持ち悪かった。『あの子』が、セミを探している。
私は、セミは何年も土の中にいるんだよ、と言った。そして大きくなったらすぐに死んじゃうんだ、と。『あの子』はセミを探すのを止めた。虫かごの中をじっと見る。
「カブトムシもすぐに死んじゃうの?」
『あの子』が私を見上げて訊く。
「うん。あんまり長生きしないんじゃないかなぁ」
私が答えると、『あの子』は言った。
「じゃあ逃がそうよ、おねえちゃん。閉じこめられて死ぬのはかわいそうだよね?」
あの子は優しい子だった。私は、せっかく二人で頑張って捕まえたのに残念だと少し思ったけれど、結局カブトムシを逃がすことにした。
それぞれ、捕まえた木の辺りに逃がそうということになる。その時にはすでに、日が落ちかけていた。
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