いつも、となりに

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 暗くなって帰ると怒られると思った私は、『あの子』に一人で元の木の場所に行ってカブトムシを逃がしてくるようにと言った。『あの子』は素直に頷いて、山の木々の向こうに駆けていく。私も急いで、カブトムシを戻しに行った。  逃がし終えて、『あの子』と別れた場所に戻ってくるとそこには誰もいない。  その場にしゃがみ込み、待つ。あの時の空は、毒々しいまでに赤かった。そして少しずつ赤から紫に変わっていく。  ……『あの子』が戻ってこない。  おかしい。そう思った私の耳に、『あの子』の泣き声が聞こえた。  鳥の声?  一瞬、そうだったら良い、と思った。だけど次いで、また泣き声がした途端、私は駆けだしていた。  
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