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「キースは元々コカイン中毒でな。向こうのボスに気に入られてたけど、コカインが原因でファミリーの専属になれなかったんだ。で、『二度とドラッグには手を出さない』ことを約束して専属にしてもらったってわけ。キースがこっちに来る時にシカゴの奴から教えてもらったのさ。」
ああ━━━なるほど。
ダグラスが頷く一方、リチャードはキースを信用してないのか、コカイン入りのビニール袋をキースに投げつけて言った。
「どっちにしても俺の一存でてめぇを専属から外すことはできねぇ。てめぇはシカゴ支部の持ち物だからな。」
リチャードの鼻息が治まらない内に、サクティが2人の間に入った。
「今はキースのことよりダグだろ?これからどうすんのか決めないと。」
━━━━皆、一様に溜め息を吐いた。
しかし、ダグラスはリチャードを見据えて言った。
「俺はしばらくファミリーと距離を置く。それと、リッチは内通者を調べてください。」
「距離を置くって…もしファミリーがお前を探し出して殺すってなったらどうするんだよ!」
サクティがダグラスに言うと、ダグラスより先にリチャードが口を開いた。
「専属にならない限りはあくまでフリー…相対することになれば、それもまた運命…って言いたいんだろ?おめぇは。」
ダグラスは頷き、その場から立ち上がった。
「俺はの人間じゃないですからね。リッチにも随分お世話になってますし、これ以上は迷惑かけるわけにはいかない。」
「━━━━ダグ!」
部屋から出ようとドアの前に立ったダグラスは、その声で足を止めた。
「もしお前を棺桶にぶちこむ羽目になったら…堪忍してくれ。」
「リッチと"フィンガーチップ"は俺の父親じゃないですか。父親に殺されるならまだマシです。」
リチャードはダグラスに背中を向けたままだったが、ダグラスはドアを開いて歩き出した。
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