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━━━━この子…私にカマかけたのか?
レデリーがそう思いながら言葉を選んでいると、シェリルが先に言った。
(これ以上レデリーさんのお世話になるわけにはいきませんし、やっぱりプロに依頼したいので…。)
「でも、下手にこれ以上変なところに足を踏み入れるのは得策ではないよ。悪いことは言わない。私のところに来なさい。」
(ありがとうございます。でも私は『ドラゴン』に依頼したいんです。お願いします!)
…これ以上引き留めるのは良くない、かな。
レデリーは諦めると、何も言わず手のひらでレルカーに合図した。
レルカーは察し、ウインカーを点けて再び車を走らせた。
「『ビートインナイト』は知ってるね?」
(…はい。)
「そこから西に2ブロック行ったところに『N.Y.Jackal(ニューヨークジャッカル)』と言うバーがある。その店の一番奥に飾りのダーツセットがあるから、そこに連絡先を書いてタダーツで留めておくといい。必ず『ドラゴン』から連絡が来るはずだよ。」
(ありがとうございます!それじゃあ━━━━。)
シェリルはあっさりと電話を切ってしまった。
「その口振りからして、相手はアルクラウン嬢ですか?」
無表情のレルカーが問い、レデリーは微笑と共にそれに答えた。
「もちろんだ。あの子は可愛い子だからね。誰だって『あんな子がそばにいたら』って思うもんだと思うよ。」
「あなたのその発言は、まるで恋愛感情を伴っているように聞こえます。」
笑って見せ、レデリーは彼の肩を叩いた。
「レルカー━━━━私はお前も愛しているよ。でもそれは兄弟みたいなものだ。だけどあの子は少し違う。恋愛と言うより…そうだな。奴隷のようにしたい子なんだ。私の言いなりになる可愛い奴隷…それが理想なんだよ。たまらないじゃないか。金も権力も得て、手に入れてないのはそれくらいだよ。お前はそういうのを望んだことはないのか?」
レルカーが何も言わず首を横に振ると、レデリーは再び微笑して言った。
「わかっているよ。お前が女を抱かないことくらい。」
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