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プロローグ
目を覚ました場所は、僕の知らない部屋だった。
何故僕は此所にいるんだろう?
記憶を辿ってみる。
僕の左の手首に幾筋の躊躇い傷があった。
察するに僕は自殺未遂の常習者であるようだ。
何故死のうとしたのだろうか?
それさえも解らない。
真っ白な部屋の、真っ白なベッドの上で、この部屋の天井と睨めっこをしながら、此所は天国じゃないと思った。
「また死ねなかった……」
記憶を失くしたはずの僕の口から、知るはずのない本音が零れた。
意識ではなく身体が死にたい理由を知ってるのだろう。
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