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~音無~
「ここは…」
俺-音無弦結が目を覚ましたのはいつもの寮の自室ではなく、広大な砂漠のど真ん中だった。
地平線の果てまで砂が続いている
そんな場所に座り込んでいた
灼熱の太陽が真上から俺の素肌をジリジリと焼く
「俺はまだ夢を見ているのか?」
思わず口から零れる疑問
もちろん、答えてくれる者は居るわけない
仕方なく、俺はいささか古典的であるが、自らの頬を思いっきりつねってみた
「痛ってぇ!!」
…叫ぶほどに痛かった
事態は最悪だ
夢ではないらしい…
「奏!日向!ゆり!」
不安に駆られ、立ち上がり、仲間の名を呼ぶ
大声で…
「直井!TK!藤巻!」
そんな声に反応して出てきたのはまったく俺が望まぬ者たちだった
「なっ!」
俺の正面の地面が盛り上がり、砂柱を上げて出てきた者の姿に思わず声をあげる
それはまさしく異形だった
シルエットは人間のようだが、頭はトカゲのそれで、全身に緑の鱗が並び、手には鋭い爪が生えている
名付けるなら、リザードマンだな
そんなリザードマンは一体だけでなく、俺を囲むように現れ、その数は7体になった
その7体全てが好戦的な紅い瞳を俺に向けている
「おいおい、冗談だろ…」
そう呟き、腰のハンドガンを取り出す
「グギャー!」
こちらの準備が整うのを待っていたように、そんな叫び声をあげて正面のリザードマンが飛びかかってきた
俺はそのリザードマンの眉間に向かって引き金を引く
すると、リザードマンは短い悲鳴をあげて地面に落ち、動かなくなった
頭に打ち込めさいすれば一発で倒せる
そう確信して、俺は仲間がやられて怒り狂った他のリザードマンたちと対峙した
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