霧隠才蔵

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「うぉやかたさまァァァァァァァ!!」 「幸村ァァァァァァ!!」 二人の雄叫びが響く 此処は甲斐の国武田信玄の居城上田城 「あ~あ、まぁ~たやってるよあの二人」 呆れた顔で殴り合う二人を観ているのは猿飛佐助 真田十勇士の頭領で幸村に何かと世話を焼く【おかん】的な存在だ 「毎朝これを見ないと1日が始まった気にならないな」 腕を組ながら二人の殴り合いをウンウンと頷きながら微笑ましそうに見ているのが、真田十勇士二番頭この話しの主人公、霧隠才蔵だ 「お~い才蔵、そんなとこでニヤニヤしながら見てないで、旦那と大将止めてくれないか?俺今手が放せないから」 と、洗濯物を干しながら才蔵に言い 「ム?何故だ?あんなに楽しそうに殴り合ってるではないか、これぞ武田名物殴り“愛”!!」 眉毛がキリッと男前になり眼がキランと輝き言い 「お~い才蔵?お~い…」 才蔵の顔の前で、大丈夫か?と手を振る佐助 だが、反応なし 「ハァ~…たく、しょうがないなぁ」 と言いながら洗濯物を中断し二人を止めに入る 「はいは~い、2人ともこれで終了、終わり終わり~、旦那も大将もサッサと朝飯食っちゃって下さい」 殴り合う二人の間に割って入る佐助 「ム、佐助?」 「何?もうそんな時間か」 2人は佐助の言葉に殴り合う拳を止め そそくさと朝食をとりに行き 「全くあの2人は毎朝毎朝、本当に飽きないねぇ」 などとブツブツ文句を言いながら残りの洗濯に取りかかり 「ふふ…今日も武田は平和だな」 才蔵は遠い目をしながら小さく笑い 「…お前また変な顔して…どうでもいいが、お前もサッサと朝飯食ってこい」 遠い目をしてニヤニヤしている才蔵に言った
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