霧隠才蔵

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佐助に言われ朝食を食べに来た才蔵 上田城の食堂は各自お膳を持ってのセルフサービスだ 他の兵達もお膳を持って今か今かと列をなして待っている 「今日の飯はなにかな~♪」 才蔵も鼻歌混じりで列に並ぶ と、前の兵の話し声が聞こえる 「なぁ、知ってるか?」 一人の兵が前の兵に話し掛ける 「あん?何だよ?」 話し掛けられた兵は振り返る 「ここんとこ奥州の伊達が怪しい動きをしてるらしいぜ」 前の兵に話す 「奥州の伊達が?どう言うことだよ」 前の兵が怪訝な顔で聞き返す 「おう、昨日さ街に出てブラブラしてたら、旅の行者2人が話してたんだよ」 行者の話を思い出すかのように上を見て言い 「へぇ~、で、どんな話だよ?」 興味が沸いたのか聞き返し 「いやな、何でも伊達と豊臣が裏で手を組んで戦の準備をしてるそうだぜ」 前の兵に少し興奮気味に言い 「は?伊達と豊臣がか?おいおい、冗談はよせよ伊達と豊臣と言やぁ犬猿の仲だぜ?有り得ないって」 興奮気味に話す相手を見て少し鬱陶しい顔をして 「いやいや、本当だって!俺この耳で聞いたんだから!」 と、自分の耳を指差し騒ぐ 「はいはい、そうですか」 相手の兵は興味を無くしたのか騒ぐ兵を軽くあしらい前を向いて食事の順番を待つ 「本当だって言ってるのに…」 あしらわれた兵はシュンとなってしまい話はここで終わる 「伊達と豊臣が、か…どうもきな臭いな…」 才蔵は今の話を聞いて少し疑問に思っていた。 もしも、これが伊達、豊臣どちらかの策略で、この甲斐の国に攻めてくるのであれば… ふと、そんな悪い予感が頭をよぎるが 「しかし、伊達は敵国だがそんな卑劣な手を使う訳がないが…」 う~んと、悩む才蔵だが 「次の人、食事ですよ」 と声を掛けられ、今悩んでもしょうがない自分の取り越し苦労かもしれないしなと思い 「まぁ、朝食でも取るか」 と朝食を貰い席につき食べ始めた。
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