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彼は今日も部屋に居る。
彼にとってのその部屋は全世界。全宇宙。
何をするにしても、全ては自分に返ってくる、なんてことも畧有り得ない、殆ど誰からも干渉され得ない、住み心地の良い、部屋。の筈であった。
然し彼が鍵をかけたおいた筈の扉は何とも無しに突然開かれ、そこから土足で入り込むは、猫背で瓶底眼鏡をかけ、黒い、破れた随分と古びたのスーツを着た、余りに年寄り臭い若い男である。
「やあ。」
と言ってのけた男は床に座り込む。
「君さぁ、何時までそこにいるつもり?」
と続けて彼を見ず男は尋ねる。
暫しの沈黙の後「ああ、そうか。」と勝手に納得した男は、またもや突然立ち上がり帰って行った。
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