0人が本棚に入れています
本棚に追加
かの男が年寄りに尋ねる。
「『死』とは何でしょうかね。」と。
年寄りは答える。
「一生のロマンだ。」と。
死とはロマン。
延々続く夢物語。
死とは帰結。
一生のドラマの走馬灯。
男がまた年寄りに尋ねる。
「では『生』とは何でしょうかね。」と。
年寄りはまた答える。
「変幻自在なロマンだ。」と。
物語は後からいくらでも変えられる。
後で手を加えてさえやれば、どんな完結だって望めるのである。
―――――――――――――――
恐らくは孤独死であろう、白骨化した遺体がとある団地の一室で発見された。
遺骨は供養程々に集団墓地に投げ捨てられた。
最初のコメントを投稿しよう!