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雪は嫌いだ
残酷なほど白く美しいそれは、常に血の赤を求めて入るようにしか見えない。
神殿のろうそくを消しながら彼女は空を仰ぐ。
『雪は決して残酷なものではないのですよ』
今日言われた司祭の言葉。
『雪は神の慈悲です。その清らかな白さで全ての事象を白紙に帰してくれるのですよ。人の死もあくまで事象の白紙化に過ぎません』
雪の白さと同レベルの綺麗事。
人の死も事象の白紙化の過程にするくせに、人の死は白紙化してくれない。
雪はしんしんと舞い降り、深い闇に音を沈めていく
人の寝息、風の囁き。
そして、来訪者の足音
「ただいま、シルビア」
後ろからかけられる、声。
闇に紛れるように佇んでいるのは、待っても戻らない筈の愛しい人。
カシャンと手に持っていた灯りが神殿の床に落ちる。
枯れた筈の涙が溢れ出す。
「約束通り迎えに来たんだ。さあ、」
すっと、月の光のように淡い色をした手が差し伸べられる。
彼女は泣きながら笑顔でその手を受け取る。
「ーーー」
しんしんと雪は降る。
彼女の最後の声を吸い取って
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