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その男は京の町を気まぐれで歩いていた。
最初は気分転換に、と思い来たが気分は地を這っていた。
(・・・うざってぇなぁ)
この男を苛立たせる原因は周りからの絡み付くような視線だった。
(気晴らしにもなりゃしねぇ。)
女からの熱い視線だけでなく、男の妬ましそうな視線までくるのがうっとうしいのだ。
内心こっそりと嘆息した土方は、さらりと前髪ををかき上げるフリでそっと視線から顔を庇った。
目立ってしまうのは自覚もしているし、見られることも慣れている。
標準よりも高い身長に見合う鍛えられた身体や、聡明さを滲ませた切れ長の瞳、彫りの深い顔は周囲の賛辞を集めるものだ。
土方が苛立っているのは、よく言えば控えめな、悪く言えば粘ついた、好奇の眼差しだ。
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