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京の町には珍しくない光景だった。
五人ほどの男達がこちらに走りながら、声を放った。
「その男は仲間か、ああ!」
(冗談じゃねぇ!)
せっかくの休みに巻きこまれるのはごめんだと土方が誤解を告げるより先に、傍らの女に腕を取られた。
「なわけないでしょ・・・あなた、逃げるわよ!」
土「おいっ、女っ」
その手の細さと、肌を焦がすような体温の高さにどきりとすれば、走りだす女に引きずられる。
土「なんなんだ、いったい!?」
「うるさいっ、殴られたくなかったら走る!」
女は思いのほか足が速く、驚くが同じように走る。
「待てこらぁ!」
「待つわけないでしょ!」
追ってくる五人も速く血相が変わっていて話せばわかるというものでもないようだ。
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