~序章~

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そんな時、部屋のドアをこんこんとノックする音が聞こえてきた。 「(お姉ちゃんかな?)」 ことりはとりあえず「はい…」と入室を許可する。 涼輝だった。 彼は入って来るや否や、パソコンの液晶を見て顔が赤くなった。自分の過去の演奏する姿を見られ、よほど恥ずかしかったのであろう。 「あ、あの……!!」 「あ、ごめんなさい!!」 ことりは急いでパソコンの電源を切ろうとする…が、「いや、その……!」と涼輝が口を開いた。 「別に…… いいですが、何だかもどかしくて……!!」 涼輝が自分の心境を素直に話すとことりは迷ったが、電源を切るのを止めた。 「上谷君……バイオリン弾けたんですね。 いつ頃から始めましたか?」 ことりの問いかけに涼輝は記憶を辿り、「ええと……」とし、応えた。 「確か…… 私がまだ小学生の時だったと思います。 あるバイオリン奏者の演奏を見て憧れて……それで、父のバイオリンを貰って始めました。 最初は父から色々教わりましたが、なかなか上手くいきませんでした。」
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