「零」

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アノ子が泣いている仄に音 残映に彷徨う影「願います」 化ける狼それに慄く人々 久遠に翹望するまだ光見えず 右手 左手 右足 左足 「全て頂戴いたします」 満月、足跡築き背を向けた 其処にあるのは狼の群れ 抱き締めたコノ子も 連れ去られた アノ子を思い出し声を上げた 竦む命に火を灯して歩む 風は流れて人は尾籠となり 「狼を讃えよ叛く奴は自刎に散れ」 頭 首 腹 器 「全て頂戴いたします」 満月、指折り数えるアノ子の影 黙祷捧げた貴方が流す涙 音を消し身を寄せ合う 「星は作れないのにね」 夜な夜な人は狼を讃え また叛く者は夜這いをする
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