ラブゲーム

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「……なに、してんだよ…」 低い声に3人の顔色がさぁっと引いていく。 僕も驚いた。 一樹が怒ったのなんて、久々に見たから…。 「なにしてんだって聞いてんだよッ!!」 ツカツカと教室に入っては、一番扉の近くにいた男の胸ぐらを掴みあげて壁に叩き付けた。男はその衝撃で気絶したらしくズルリと壁を伝い床に落ちる。 その後一樹はご丁寧にひとりひとりをボコボコにした。 一樹に担がれ…というかおぶってもらい僕は忌々しい教室から出た。 一樹は珍しく無言で何かを考え込んでいるようだ。 ついたのは自販機の近くにベンチが設置されている場所。そこに僕は降ろされ、一樹は自販機でお茶を買うとそれを僕に手渡した。 「その…大丈夫か?よしひろ」 「大丈夫だ。間一髪挿入とまではいかなかったしな」 「そっか…」 沈黙がおりる。 思えば僕ら二人で無言の状況は珍しい。というか一樹がこんなに静かなのが珍しいのだ。おかげで僕まで調子が狂うじゃないか。 「まったく…とんだ偉い目にあった」 今日ほど最悪だと思った日はない。 「だいたいなぜ男の僕を犯すのか理解ができない。最近では同性愛者が増えたと聞くがそれは本当だったようだな。まさかこんな身近に3人もいるとは思わなかった。強姦なんて他人事だと思っていたが自分が強姦される日がくるとはな。勘違いするなよ?僕は全然平気。確かにあいつらに…」 イかされた…。 同じ男の口で…。 「あいつらに……、っ!?」 「…………」 突然、腕を引っ張られたかと思えば僕は一樹に抱き締められていた。いきなりのことで頭が真っ白になり、ただその強まる腕の力が苦しく感じた。 「か、一樹…」 「………なよ…」 「え?」 聞き取れないくらい小さな声。聞き返せばいきなりバッと肩を捕まれ体を離された。 「泣くな!お前らしくない」 「…………」 言葉を失った。 泣く?僕が? そんなわけ…。 「ぁ………」 頬を伝う涙の存在に気付いたのは、再び抱き締められてからだった。 なんで僕は泣いているんだ? 悲しくなんかない。 あいつらに犯されたことなんかちっとも…。 「悔しいんだろ…?」 「え…」 「悔しいんだよ…お前は。だから泣くんだ…」 「…………」 あぁ、そっか。悔しいのか。 あんなやつらに汚されたことが。あんなやつら相手に感じてしまったことが。
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