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「なぁ一樹…」
「ん?」
「これも…ゲーム?」
この優しさも、この温かさも…恋愛ゲームで勝つため?
僕を助けたのも、あいつらを殴ったのも…僕にかっこよさをアピールしたかったから?
「………そうだよ」
「……………」
「だからお前は…」
何も気にしなくていいんだ。
そんな一樹の言葉を最後に、僕の意識は途切れた。
「……まさか、惚れてなんてないさ」
眠ってしまったよしひろを家へ送り届けた後、俺は自分の部屋に戻りベッドにダイブした。
よしひろが強姦された。
正しくは強姦されかけただけど。
許せなかった。
頭に血がのぼった。
こんなハズじゃ、なかったのに…。
本当は、よしひろが教室に連れてこまれた時すぐに助けることはできた。
俺はたまたま靴箱前で計画をコソコソと話している男たちの話を盗み聞きしていた。
やがてよしひろがやってきて、案の定男たちはよしひろを空き教室へと連れこんだ。
「っ、くそ!!」
最初は男たちを利用した計画だった。際どいところまでよしひろを襲わせて、ギリギリのところで助けて惚れさせようと思っていた。
俺はあんな状況で、ゲームに勝つことだけを考えていた。
犯されたよしひろの気持ちなんて、これっぽっちも考えていなかったんだ…。
いざ助けようと教室に入った途端、俺は頭が真っ白になった。乱れたよしひろを押し倒している男たちを見てカッと顔が熱くなったような気がした。
そして…気が付いたらよしひろを犯した男3人をボコボコにしていた。
「惚れてなんか…」
泣いてるよしひろなんて、何年ぶり、いやもしかしたら十何年ぶりかもしれない。
気が付いたら抱き締めていた。
なぜか、俺まで泣きそうになった。
「っ、ねぇよ…」
ただの幼馴染みなのに…。ただ腐れ縁というだけの生意気なヤツなのに…。
なんでこんなにも、アイツが汚されたことが悔しいんだろう。
なんで、強がりを言うアイツを抱き締めたくなんかなったんだろう…。
夢を見た。
一樹が僕の頭を優しく撫でている夢。
その手はすごく暖かくて、優しくて、なぜか泣きたくなった。その胸に飛込みたくなった。
でも目を覚ましてみればやっぱり一樹の姿はなくて、ほっと安堵の溜め息をつく。
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