ラブゲーム

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「んで?今日はなににしましょーか。昨日は腕相撲、その前は短距離だったな。つかそんなんじゃなくてもっとおもしれぇゲーム誰か考えろよー」 こういうヤツだ。 いつだって人任せで、自分が楽しければなんだってやる。あと、僕が嫌がることならなんだって…。 「単純かつ分かりやすいゲームのほうがいいな。この馬鹿が分かりやすいような」 「おいおい、よしひろ。俺のこと馬鹿馬鹿言うけど俺一応次席だぜ?」 「僕よりは馬鹿だろう」 「うるせー」 すねたような声に少し優越感を覚える。こいつは勉強では絶対に僕に勝てない。 それは毎度同じケアレスミスをおかすからだ。まったく学習能力のない男だ。 「次はぜってー首席になってやる」 「寝言は寝て言え」 「この野郎…」 今度は一樹が僕に殴りかかろうと拳を振り上げる。そして、クラスメートに止められた。 毎度のことながらうちのクラスの危険察知能力には感心する。 「とにかく、今朝は時間がないから勝負は放課後だ」 「…しょーがねぇ。おい野郎共!!放課後残っとけよ!!賭け金が惜しくないヤツは別に帰ってもいいけどなー」 言わずともこのクラスの連中は帰らないだろう。そういうヤツらだ。どこかこの目の前にいる馬鹿に似ている。 …感化されたか? 恋愛ゲームを始めよう。 「……………は?」 放課後、クラスメートと他クラスたちに囲まれながら一樹は堂々と言った。 僕はというと、意味が分からなすぎて、どこか耳とか頭とかが壊れたんじゃないかと一樹を軽く叩く。しかしヤツは変わらずニコニコと笑みを浮かべているだけでなんの反応もない。 やはり壊れたか? 「念のためにもう一度聞こう。勘違いするなよ、僕が聞こえなかったわけではないし聞こえなかったフリをしたいわけでもない。君の名誉挽回のチャンスをやると言ったんだ。もう一度だけ聞いてやるからそこで違うことを言うもよし、同じことを言うもよし。変人だと、変態だとこの大勢に思われたくないのなら僕は前者をお勧めする」 「恋愛ゲームをしよう」 「…………」 せっかくチャンスをやったのにコイツは同じことを言った。 もしや僕の今の言葉が理解できなかったのか? その程度の脳味噌で次席だと? 聞いて呆れる。 それとも理解してなお、後者を選んだというのか? そうだとしたらコイツは生粋のMなんだと学校中に言いふらしてやろう。
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