ラブゲーム

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バン、と手で鉄砲打つマネをしてウインクを投げる一樹。正直鳥肌がたつほど気持悪かったが、まわりの男子たちは歓声を大きくして教室を出ていく一樹を見送った。 こうして、僕たちのいつ終わるかも分からないゲームは幕を開けたのだった。 いつものように一樹が朝迎えにきた。 いや、いつもどおりではない。 珍しくヤツはインターホンを押した。 大声で叫ばなかった。 なんだか調子が狂う。 いや、願ってもないことじゃないか。これで近所から苦情がくることもないし、僕がイライラすることもない。 図らずも二人きり。 いつもと少し違うアイツに戸惑いを隠せない。 チラリと隣にいる馬鹿を見てみれば最悪なことに目があってしまった。 「なに?よしひろ」 ニッコリと嫌な笑みではない爽やかな笑みを見せられた途端にゾワッと鳥肌がたった。 「おまっ、なんだその満面の笑みはーッ!?」 気持ち悪い!!いや気持ち悪い通り越して恐ろしい。今まであのニヤリとした笑みしか見たことがなかったから、その拒否反応は半端ない。 「あははっ、なに言ってんのよしひろ。俺はいつでも笑顔じゃん?」 「なんだ。何か悪いものでも拾い食いしたのか?」 「そんなことしないよ。俺はよしひろが落としたもんしか食わないよ」 またしても鳥肌。 なんだ!?なんだコイツの豹変ぶりは!? 僕の落としたものしか食わないよってそれ明らかに変態発言だろ!! セクハラで訴えてもいいくらいだ!! そこで僕はふと昨日のことを思い出した。 そういえば今恋愛ゲームの真っ最中だった。なるほどコイツのこの言動はアレか。僕を惚れさせようとしているのか。 激しく間違っているような気がするのは僕だけか? 「あっ、よしひろ鞄重いだろ?カゴに乗せろよ」 そう、今コイツは自転車を押して僕の横を歩いているのだ。いつもなら僕を走らせ、自分は自転車に乗り登校しているというのに。 そうか、一樹がそういうつもりなら…。
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