混沌たる平和な日々

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教科書開いて、ノートも開くけど、黒板なんて見やしない。 字を書く補助のラインを無視して文字や絵をノートに書いていく。 教師が立つ黒板の前は一段高くなってるから、その事に教師は気付いてるんだろうけど、どうでも良い。   国語の授業なんて聞かなくても点は取れるし、国語の教師は無駄な事ばかり話してて役に立たない。 授業態度で成績は多少下がるけど、テストで補うから内申が酷い事になりもしない。 そうでなくてももう関係無い。   就職先、決まってるから。 大学にまで言って勉強するのは面倒だったから、就職。   それを知らない佐助は入試に響くと心配して騒いでるけど、まあ良いや。 騒ぐ佐助はオカンみたいで笑えるから、もう暫く教えないでおく。   サラサラと杓文字片手に怒る佐助の落書きをしていたら、耳にかけてた髪が前に流れてきた。 丁度佐助の落書きが完成して、左手で出てきた髪を後ろに流し、くぁ、と欠伸を一つ。   あぁ、暇だ。 暇つぶしに前に座ってる他の連中を見るけど、大半は頭が下がってる。 国語教師の無駄話、長いうえにつまらないから仕方が無いけど。   真面目な真田も爆睡状態。 窓際から二列目、程好く温かな席に座ってるから余計に眠いんだろうな。 そんな真田を、その後ろの席の佐助が起そうとしてる。 真田の長い後ろ髪を遠慮無しに、容赦無しに引っ張ってるけど起きる様子は無い。 真田の奴、禿げるんじゃないかと心配してやるけど、真田は成績が危ないとかでオカンも必死なんだろう。   あ、佐助が諦めて脱力した。 結局真田は5分間髪を引っ張り続けられたけど眠り続けた。  
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