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非番の日にシンジュクALT前を歩いていると路地裏から視線を感じた。
気になって視線を感じた方へ歩いていくとビルとビルの隙間に小汚い服装の老人が座っていた。
力なく伸びた男の手の平には開いた瞳のタトゥーがある。
俺が老人の前で立ち止まるとほぼ同時に彼は口を開いた。
「翠玉(すいぎょく)の館、蠍の男、深紅の女。
女に関わるな、関われば…死ぬ」
それだけ口にすると老人は黙ってしまった。
「それは予言何かか?
だったらハズレだ。
俺はとっくに死んでる。
死んでるのと同じなんだ」
初対面の人物に突拍子もないことを言われて面食らったが、何故か俺は自身の胸に詰まっていたことを正直に話していた。
しかし老人は何も答えない。
死んでいるのかと思ったが呼吸はしているようだ。
俺は「また来るよ」とだけ言い、その場を去った。
老人は相変わらず黙ったままだった。
それ以来、暇を見つけてはALT周辺の路地裏に足を運んでいるが老人と会うことは無かった。
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