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松「あなたのお母さんとお父さんはさっき此処に来て、あなたを私に預けて行きました。だからあなたは心配せず此処にいるといい。」
松陰はめいっぱいの笑顔で嘘をついた。
女の子は笑顔で…
「わかった!おかあしゃんとおとうしゃんくるまでいい子にしてる!」
と言った。
そして、松陰はさらに聞いた。
松「ところであなたのお名前は?」
「…わかんない」
女の子には名がない。
『血鬼』の村では名付けは5歳になってからなのだ。
だから、呼ばれる名がないのだ。
松「…ならば今日からあなたは“汀曄(ていか)”です。水際の穏やかな場所でも華やかに輝けるように。良い名でしょう。」
「うん!わたしの名なんだね。うれしい!」
この日より女の子は“汀曄”と名付けられた。
今は亡き両親に代わり松陰によって。
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