第一章

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《しかし、これはめでたい話だ。2人を祝福せねば。》 俺は渦巻いていた何かを吹き飛ばした。 「今日はめでたい。乾杯しようぜ。」 俺がそう言うとそれぞれグラスを持った。 「2人の前途を祝して、カンパーイ!!」 合わせたグラスがカーンといい音をさせた。それから3人でとことん飲んだ。そして夜中を回った頃お開きになった。店先で幸せそうな2人を見送り、俺は薄暗い街をフラフラしながら家路についた。 「しっかしあの2人幸せそうだったな…。」 俺は独り言を言いながら歩いていた。すると街灯の下を何かが横切った。 「なんだ?」 それはネズミぐらいの大きさで二本足で走って行ったように見えた。 「今のは人のように見えたが…。あんな小さな人が居るわけないよな。いかん今日はちと飲み過ぎたかな?早く帰って寝よう。うんそうしよう。」 また独り言を言いながら家に向かった。家に着くと真っ暗な部屋が待っていた。 「俺も早く結婚してぇー!!」 『うるさいぞ。何時だと思っているんだ。』 「すみません…。」 近所の人を起こしてしまって怒られてしまった。静かに階段を上り部屋に着いた。鍵を開けようとした時、中で何かが倒れた音がした。「…ん?」 ゆっくりとドアを開け中をうかがった。月明かりでうっすら見える俺の部屋は、お世辞にも綺麗とは言えない。独身の男の部屋はこんなもんだろう。壁にあるスイッチを点けるとそれが更に分かる。ゆっくり中に入り音の原因を探した。台所の流しに置いていた使いかけのグラスが倒れて中に入った麦茶の残りが零れていた。 「ネズミでも居るのかな?」 そうは思ったものの、最近こんな事が良く起きる。この前なんかは、消したはずのテレビが点いていた。どう考えてもネズミとは思えない。もしかして幽霊?!いやいやそんな訳ない。まさか泥棒が入ったのか?でも、俺の部屋には金目のものと言えば液晶テレビぐらいだ。 「誰かいますか?」 こんな狭い部屋誰か居れば気づくはず。意味の無い事をしている。 ガタガタ… 俺はビクッとした。思ったそばからこれだから驚いても仕方ない。俺は音を辿りその方を見た。そこには6段式のタンスがあった。俺が小さな頃から使っている物だ。昔、貼ったキャラクターのシールが剥がれながらもある。しかし、それが何のキャラクターだったか思い出せない。俺も年をとったのだろうか。
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