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そんな事は置いておいて、音の原因を探さなければ。
「このタンスに何があると言うのだ?」
ゆっくりと上の段を開けた。そこには乱雑にTシャツが入っている。しかし、音の原因になる物は見当たらない。それから次の段を開ける。だが、そこにも何も無かった。その後、次々と開けるが、やはり何も無かった。そして最後の段になった。
「ここに無ければ俺の気のせいだな。」
そう言いながら手を掛け開いた。その瞬間何かと目があった。そこには人らしき生物がこちらを見て驚いた顔をしている。
「うわっ!?」
いやいや驚くのはこっちだ。タンスの中にネズミほどの人が居た。その上尻尾らしき物もある。俺はゆっくり後ろに下がった。
「な、何なんだお前は?」
そいつはタンスの陰から顔を出した。苦笑いしながら言った。
「こんばんは。トリゾウと言います。」
「と、トリゾウ?いやいやそうじゃなくてお前は何者なんだ?」
俺は手を扇ぐようにしてそう言い返した。
「何者…?あっ人間で言う神様ってヤツかな。」
「か、か、神様?!」
俺は驚き次の言葉がなかなか出なかった。トリゾウはキョトンとしてこちらを見ている。良く見ると見た目は人間なんだがお尻に尻尾のような物があった。まるでサルの尻尾のようだ。そんな事は置いておいて、俺は気を取り直し言った。
「そ、その神様がなんで俺の部屋に居るんだ。その上、寄りによってこんなタンスの引き出しの中に…?」
トリゾウは困ったように頭を掻いている。しばらく考えて俺を見た。そしてニッと笑った。
「実は天界から落ちた。」
トリゾウはそう言うと恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。
「天界から落ちた?何だよそれ。お前神様だろ。落ちないで飛んだら良いじゃん。」
「それは無理だ。飛べる訳がない。」
トリゾウは自慢げに言った。出来ないなら控え目に言うものであるが、妙に胸を張っている。
「神様と言ったら普通飛べるだろ?」
俺達の考える神様なら簡単に空を飛べそうなんだが、トリゾウは飛べないと言う。名前にはトリが入っていて飛べそうだが…。
「それは人間の偏見だ。神でも出来ない事もある。君だって飛べないだろう?それと同じだ。」
トリゾウの言う事は間違いではない。人間にも出来る出来ないはある。俺は変に納得した。
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