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「アハハハ…冗談だ。」
トリゾウはお腹を叩きながら笑っている。
「えっ?冗談なの。」
俺はため息混じりにそう言った。
「そりゃそうだよ。ワシもこんなところにいつまでも居たくはないしね。」
(なら、サッサと出て行けば良いじゃないか)と内心思った。
「早く出て行けと思っただろ?」
トリゾウはニヤリと笑う。俺は慌てて口を押さえた。
「神をナメてもらったら困るな。飛べなくとも他の事が出来ない訳ではない。以後、気をつけた方が良いかもね。」
(完全に忘れていた。目の前にいるのは、神様だ。まだ、全てを聞いた訳では無い。今のところは大人しくしておかないと…。)そんな事を思っているとトリゾウがまた、ニヤリと笑った。
「あっごめんなさい。」
俺は思わず謝っていた。しかし、トリゾウはキョトンとして言った。
「また、お前悪い事考えていたな。天罰を与えるぞ。」
トリゾウはプクッと膨れっ面をした。
(おや?待てよ…。もしかしたらさっきのは俺を騙したのか?本当はそんな能力無いのかもしれない。いや、絶対ない。そうに決まっている。)
するとトリゾウがまたまたニヤリとした。
「ワシに能力無いと思っただろう。」
「うおぉぉ―――!?どっちなんだぁ―――?」
頭を抱え叫んでいる俺を見てトリゾウは笑っていた。
「1つ良い事を教えやるよ。」
「良い事?」
「そうお前にとってはとってもラッキーな事だ。それはな…。」
俺は息を呑み込み聞き耳を立てた。しかし、トリゾウが下を向いて黙っている。ちょっと迷っているようにも見える。
「やっぱり止めた。」
「おい!!」
思わずツッコミをいれた。
「やっぱり私が見込んだだけある。芸人として売れるぞ。神が言うから間違いない。」
トリゾウは腕を組んで頷いている。よほど、俺を芸人にしたいらしい。しかし、俺は首を横に振った。
「残念だけど、俺は芸人になる気はない。今の生活で十分だ。それに芸人の世界はそんなに甘くはない。厳しい世界だと思う。」
するとトリゾウが急に拍手をした。
「お前やっぱり立派だな。流石のワシも感動した。」
変に誉められると首の辺りくすぐったくなって照れていた。
「いやいや待てそんな話ではないない。さっきの話の続きはどうなった訳?」
俺は危なく大事な事を忘れる所だった。
「おお、そうだったな。実はな…。」
そう言いかけた時、ぐぅーと音がした。
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