第一章

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「アハハハ…冗談だ。」 トリゾウはお腹を叩きながら笑っている。 「えっ?冗談なの。」 俺はため息混じりにそう言った。 「そりゃそうだよ。ワシもこんなところにいつまでも居たくはないしね。」 (なら、サッサと出て行けば良いじゃないか)と内心思った。 「早く出て行けと思っただろ?」 トリゾウはニヤリと笑う。俺は慌てて口を押さえた。 「神をナメてもらったら困るな。飛べなくとも他の事が出来ない訳ではない。以後、気をつけた方が良いかもね。」 (完全に忘れていた。目の前にいるのは、神様だ。まだ、全てを聞いた訳では無い。今のところは大人しくしておかないと…。)そんな事を思っているとトリゾウがまた、ニヤリと笑った。 「あっごめんなさい。」 俺は思わず謝っていた。しかし、トリゾウはキョトンとして言った。 「また、お前悪い事考えていたな。天罰を与えるぞ。」 トリゾウはプクッと膨れっ面をした。 (おや?待てよ…。もしかしたらさっきのは俺を騙したのか?本当はそんな能力無いのかもしれない。いや、絶対ない。そうに決まっている。) するとトリゾウがまたまたニヤリとした。 「ワシに能力無いと思っただろう。」 「うおぉぉ―――!?どっちなんだぁ―――?」 頭を抱え叫んでいる俺を見てトリゾウは笑っていた。 「1つ良い事を教えやるよ。」 「良い事?」 「そうお前にとってはとってもラッキーな事だ。それはな…。」 俺は息を呑み込み聞き耳を立てた。しかし、トリゾウが下を向いて黙っている。ちょっと迷っているようにも見える。 「やっぱり止めた。」 「おい!!」 思わずツッコミをいれた。 「やっぱり私が見込んだだけある。芸人として売れるぞ。神が言うから間違いない。」 トリゾウは腕を組んで頷いている。よほど、俺を芸人にしたいらしい。しかし、俺は首を横に振った。 「残念だけど、俺は芸人になる気はない。今の生活で十分だ。それに芸人の世界はそんなに甘くはない。厳しい世界だと思う。」 するとトリゾウが急に拍手をした。 「お前やっぱり立派だな。流石のワシも感動した。」 変に誉められると首の辺りくすぐったくなって照れていた。 「いやいや待てそんな話ではないない。さっきの話の続きはどうなった訳?」 俺は危なく大事な事を忘れる所だった。 「おお、そうだったな。実はな…。」 そう言いかけた時、ぐぅーと音がした。
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