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「腹が空いたな。何か食わしてくれ。」
「そう言えば俺もお腹空いた。ラーメンしかないけどそれでも良いか?」
俺はYシャツの袖を捲りながら言った。
「ワシの好物だ。それで良い。早く食べさしてくれ。」
俺は頷きながら台所にある鍋に水を入れた。容姿に似合わず手早く野菜を刻み沸騰した鍋に入れた。トリゾウも感心して見ていた。あっという間にラーメンを作り上げた。
「お前なかなかやるな。」
「1人暮らしが長いと嫌でも上手くなるよ。さぁ出来た。」
部屋の中央にテーブルに2つの丼を置いた。
「さぁ俺の得意なラーメン食べてくれ。」
その時、何か違和感を感じた。そうトリゾウは…いや、神様が小さい事を忘れ、普通に1人前作ってしまっていた。
「すまない。今、小さい器を準備するから…。」
立ち上がり台所に向かおうとするとトリゾウが呼び止めた。
「心配するな大丈夫だ。ワシを誰だと思っている?」
するとトリゾウは何かをブツブツ言いながら指をクルクル回した。目の前が一瞬光った。俺は思わず目を閉じた。そしてゆっくりと目を開けた。
「えっ?ラーメンが小さくなった。」
そうトリゾウは神の力でラーメンを自分のサイズにしたのだった。「オォそんな事出来るのか。流石に神様だな。飛べないけど。」
俺は笑いながら言った。トリゾウは少し怒ったように見えたが、こう言い返した。
「はいはい飛べません…なんて本当は嘘だ。ワシを誰だと思っている。神だぞ。何でも出来るに決まっている。」
俺は思わず食べかけていたラーメンを落とした。それを見ながらトリゾウは含み笑いをした。俺はその仕草を見逃さなかった。
「神様も嘘が下手だな。顔がニヤケているよ。」
トリゾウは慌てて頬を押さえた。それを見て俺が笑うとトリゾウはやられたと言う顔をした。
「お前やるな。ワシの負けだ。とでも言うと思ったか。」
俺はえっと思った。トリゾウは勝ち誇った顔をして言った。
「ワシは飛べないのでは無く、飛んだらいけないのだ。大神からの命令だ。」
「大神?」
「ワシらの一番偉い神様の事だ。ワシもまだ修行中だから力の1つを使わないように言われる。そのせいで人間界に落ちてしまったのだがな。」
トリゾウはテーブルの上を左右に歩きながら言っている。
「マジで!?神様も修行するんだ。驚いたな。」
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