第一章

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「その通りだ。そうやって立派な神になるんだ。人間も努力なしで何も出来まい。」 トリゾウの言っている事は間違いではない。何もしないで出来たらそれこそ神だ。その神でさえ努力をしている訳だ。人間である俺が努力しないのはおかしい事であるのだ。 「おい、コショウは無いか?ラーメンと言ったらコショウだろ。」 「ちょっと待って。確かこの辺りにあったはずだけど…」 俺は調味料を置いている所を探した。 「あったあった。…ん?入って無いや。そう言えばこの前切れたんだった。」 俺は空になったコショウの瓶を振った。 「仕方ないな。ならワシの力で…。」 トリゾウはそう言うと何かを呟きだし、左右の手を振り出した。 「でやーっ!!」 トリゾウの手が光ると目の前にコショウが現れた。 「すげぇ!!本当に魔法が使えるんだ。」 俺が目を丸くしているとトリゾウは自慢げにしていた。 「神だったらこの位は朝飯前だ。今は晩飯だから晩飯前だな。」 そう言うと俺をチラッと見た。ここで笑うと調子にのって何度も言ってくる。だから俺は聴かなかった事にした。 「それはそうと神様。天界には帰る方法は無いの?」 トリゾウは落ち込んで下を向いている。ゆっくりと顔を上げ俺を見た。 「天界か…。帰る方法はある。」 「ナニナニ?」 「それはな…。」 チラッと俺を見た。しかし、すぐに視線を落とした。よほどさっきの事がショックだったのだろうか?あのつまらないオヤジギャグ。仕方なく俺は唐突に笑った。 「朝飯じゃなくて晩飯…あはっアハハハ…。神様面白いな。アハハハ。」 引きつったように笑った。だが、トリゾウは目を輝かせた。 「そうだろ。面白いだろ。我ながら良い出来だと思ったんだ。お前じゃなくてワシが芸人に成ろうかな?」 何故か俺の嘘を見抜けず自慢げにしていた。 「ところでさっきの話の続きは?」 俺はそれが聞きたいだけだ。 「さっきの話?あっそうだったな。天界に帰る方法だったな。それはワシを見つけた人間の願いを100個叶える事だ。」 トリゾウは腕を組んで頷いている。 「って事は俺の願いって事?」 俺は指を自分に向け目を輝かせた。 「その通りだ。電信柱の所で見られたからな。」 トリゾウは悔しそうにしている。 「えっあれはやっぱり神様だったの?ネズミかと思った。」 「ネズミとは失礼だな。」
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