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アツシロ/甘
『またあめ、かぁ…』
寝起きのせいで言葉が舌足らずになっちゃう
『…さっかーしたいのにっ』
「ふゎあっ、んあ、また雨?」
今日の雨はアツヤのせいかな?
珍しく自分一人で起きてきた
『うん、ついに梅雨だねぇ…』
「いやな季節が来たな」
だなんてたわいのない会話
ご飯を食べて制服に着替える
雨ってだけで心が落ち込む
ふとアツヤを見ると
窓の外を見てぼーっとしてる
考えてることは同じみたい
やっぱ双子だな、とか思った
『アツヤ、早くしないと遅刻』
「…っ!!時間やっば!!!!
今日はチャリとばすぞ!」
『えっ?外あめだよ?』
「あっ…!そっか(笑)」
お互い苦笑い
「まぁゆっくり行こうぜ」
『うんっ』
家を出て数分
もう靴がびちょびちょ
変えの靴下持ってきといてよかった
「しろーはぐれんなよ」
『アツヤこそでしょ、』
慣れてる道なのにね
でもこれぐらいでしか僕らは
手を繋げるキッカケを作れない
お互いにお互いの手をぎゅって
握りしめ合う
雨は冷たいけど手はあったかい
そのあたたかさに安心しちゃう
『…うゎっ!!!』
ぐぃっっ
「えっ!??」
泥道の水たまりに滑りそうになって
とっさにアツヤの腕を引っ張った
びちゃびちゃっっ
「あっ、泥」
『ご、ごめんアツヤ!』
「いや平気、士郎は大丈夫か?」
どきっ
そうゆうのされるとどきどきする
すっごい自分に泥がついてるのに
僕の方を心配してくれるアツヤ。
やっぱりアツヤはかっこいい…
『ありがとう、大丈夫だよ
それより本当にごめん…』
「………、」
『……?…アツッ、』
ぎゅっ
「いいか士郎。」
アツヤが僕を抱きしめながら言う
『…ん?』
「俺が、俺だけがお前を守んだ」
…だからお前は一生俺に守られてろ。
『…ふっ、』
「なっ何笑ってんだよ!!!
今のは大胆告白なんだぞ!」
アツヤは急に笑った僕に必死に言ってくる
そういえばアツヤからの"告白"だなんてあまり聞けないな
僕も言っちゃおう
ありがとう、アツヤ。大好き
一生一緒に居ようね?
冷たい雨の中、
僕たちだけがあたたかかった。
*** END ***
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