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再生の創世主
「奴がいなければ、なあ」
誰に言うでもない、父の言葉はあまりに悲痛なものだった。
「いつになったら消えるんだ」
漁が、海だけが彼の世界で、事あるごとに船を自慢をしていた。
そんな彼は今、十分に禿げた頭を机に伏せこたつに入ったままぶつぶつと呟き続けていた。
「もう消えないのか…」
俺がその後ろを横切っていても気づくことなく酔っている。
机上にはビール缶が六つ。
元々酒に強いタイプではなく
、悪酔いして三日酔い位するのに。
外は大雨。
ここ2日続いていて、ガラスを打ってうるさい。
古ぼけたてるてる坊主が、音とともに振り揺れる。
こいつがさぼっているお陰で、今日も大しけで船は出られない。
出たところで奴らの妨害で魚は捕れないのだが。
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