君に送る愛

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息を、してみた。 吸ってー 吐いてー… また吸ってー 吐いてー… 何だか、喉の奥らへんがヒヤッと冷たく感じる。 同じことを繰り返し繰り返しやってみる。 そして、こう想う。 嗚呼、俺、生きてる。 こうやって、温度を感じることが出来るんだよ。 物体に触って感触を確かめることが出来るんだよ。 …生きてる。 その場にごろん。ねっころがった。 目の前には幾千の星が瞬いている。綺麗だ、とても。 なのにどうしてかな。 この星空を直視出来ないんだ。 手の平を顔の前に翳して、指と指の隙間からでしか見ることが出来ない。 俺の中の星空はちっぽけだ。 死んだ人間は星になるって言うだろう? きらきら光って"いつも見守っているよ"って。 だから心配するなって、そうやって逝くんだろう? 自分勝手な奴らだよな。 心配するなとか、無理に決まってんだろーが。 見守ってるとか、嘘つくんじゃねーよ。 何も見てない癖に。ばーか。 俺なら挨拶くらいして逝くね。『またね』とか言ってさ。 そうじゃないと、残されたほうが可哀相だろ? …なあ、俺はね、俺は、お前に伝えたいことがあるんだよ。 でもね、一番大事なものを忘れちゃったんだ。 お前はさあ、いつも俺に言ってたよな。『頑張れ』って。 結構嬉しかったんだぜ。 頑張ろうって気になれた。 でもさ、結局は他人事なんだよな。 声かけるだけで、あとはどうぞ御自由にだもんな。 ひでー奴。
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