君に送る愛

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俺はお前に対する気持ちを閉じ込めてきた。 だから会えない。会いたくないんだ。 きっと、そんな俺も十分ひでー奴なんだろうな。 星空が霞む。 雨が降ってきたみたいだ。 頬に伝う雫がやけに温かいのは何故だろう。 遠くで誰かの声がする。足音も聞こえる。 誰、かな。 まぁ、誰でもいいや。 見たことある服装だ。 俺と同じ、軍の。 『お、おい!大丈夫か!』 周りでがやがや騒いでる。 何なんだよ、一体。 大丈夫に決まってんだろ。 ただ空を見てただけだっつーの。 出血がどうとか、うっせーな。 こっちは眠たいんだ。 少し寝かせてくれよ。 大丈夫、起きたらちゃんと言われた任務を遂行するから。 此処から帰ったら、アイツに言わなきゃいけないことがあるんだから。 きっといつもみたいに笑って頷いてくれるよな。 こんな血生臭いところ、もううんざり。 早くお前のところへ行きたい。 行って、思い切り抱きしめてやりたい。 俺の本当の気持ちを伝えるために。 俺ね、ようやく決心がついたんだ。 俺は、お前を 『……あ…して…る』 なぁ、聞こえてるか。
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