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いとおしいって、何だろう。
あたしは、なぜかふとそんなことを思った。
隣では、洋(ヨウ)が爆睡している。
同じ布団の中、下はトランクスだけの足の毛が、じょりじょりとあたる。
今日は、泊まってくるっていったけど。
このまま帰っちゃおうかな。
母さんに、朝食をつくってあげたい。
瑞月は、マキシ丈の白いワンピースをゆっくりと着込み、紫のトートバッグをそっと引き寄せた。
いとおしい、それはきっと。
洋のようにそばにいて、抱いてくれる男への気持ちだ。
そばにいたい。
触れたい。
あとは、母を大事にする、気持ち。
それもまた、いとおしいという思い、そのものだろうと思った。
というより、こんなことをいちいち考えるあたしは、
もしかして、
ほんとは、
いとおしいって気持ちがなんだか
わからないんじゃないだろうか。
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