平和への一歩

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昼休みが終わり、チャイムが校舎に響いた。 と思ったら突然チャイムが途切れ、放送へと切り替わる。 「全校生徒へお知らせします。本日の午後の授業は全て中止です。担任の先生方が今向かってますので、ホームルームを終えたクラスから下校してください。繰り返します。本日の…」 一度静まった教室は、ざわめきが次第に大きくなった。 午後授業がなくなったのだから、当たり前といえば当たり前だが。 放送が終わって少しも経たないうちに、2年3組の担任である黒田健太郎が教室へ駆け込んできた。 「お前等、放送は聞いたな?学校でもまだ何が起きてるのかは把握してないから、とりあえず今日は下校だ。でももうすぐ夏休みだから休校にはならないぞ?残念だったな。よし解散!!」 放送で聞いた、深刻そうな声とは全く違う、いつも通りの黒田の様子に生徒は少し安心を覚えた。 恐らく燦浄高校一の適当さを誇る教師だが、それが生徒から人気の高い理由でもあった。 ピンポーン・・・ 休んだのだから、蓮は居るはず。 しかし暫く何の物音もしないので、大和がもう一度インターフォンへ手を伸ばしかけた時、ドアが開いた。 「あら、大和君に慶君・・・。良かった。さぁ、入って。見せたいものがあるの。」 ドアの先には、蓮の母親がいた。 暫く会ってなかったが、相変わらず蓮とは全く似ていない。 明るく、昔から2人にも良くしてくれていたが、今日はなんだか顔色が違った。 「おじゃまします。」 2人は家へ入ると、そのまま蓮の部屋へ案内された。 大和がドアを開けると、そこには頭にヘルメットのような装置をつけ、パソコンの前に座る蓮の姿があった。 「何度起こしても、反応がないのよ。」 二人は、その装置がどういったもので蓮が何をしているのか、すぐに理解できた。 「いや、これはゲームしてるだけです。STARSっていうオンラインゲームなんですけど、ご存知ないですか?」 少し涙ぐむ蓮の母親の顔が、少しだけ明るくなった。 「慶君、それって・・・」
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