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「とりあえず、ログアウト障害が確認されたのが昨日の23時過ぎ。明日になりゃ回復してると思うけど」
「・・・だといいけどさ」
慶にはどうも嫌な予感がしてならなかった。
しかし大和はあまり問題視していないようにも見える。
「それじゃ、また学校で」
それから、一言も喋らないままいつの間にか分かれ道へ来ていた。
大和は頷き返すと、道を曲がっていく慶を振り向く事なく、まっすぐ歩いていった。
次の日。
やはり蓮や昨日休んだ生徒達は来なかった。
慶はSTARSの公式サイトへ何度もアクセスし、その度に「ログアウト障害は回復していないか」や「新しい情報はないか」と期待を抱いた。
しかし、それどころかSTARSの運営会社は大胆な決定を下したのである。
そもそも、STARSは日本製のオンラインゲームで、開発と運営は同じ会社が行った。
これにより不具合などの修正が他のゲームより断然早く、対応の良さも人気を高める1つになっていた。
そして今朝、公式サイトでは回復のままならない前代未聞の障害について、報告があった。
『STARS運営チームです。日頃より、STARSをご利用頂き誠にありがとうございます。7月6日の、ログアウト障害に関しましてご報告致します』
丁寧な言葉で綴られた内容を読んでいくと、慶は愕然とした。
内容は、『システムの回復が遅れている為、一時的にログインを規制する』というものだった。
これで完全に今ログインしているプレイヤーは隔離されてしまった。
しかし、冷静になれば適切な処置であるようにも思える。
慶は考えれば考えるだけ思考が絡まってしまった。
「大和・・・」
慶はSTARSの公式サイトを開いた状態で、液晶を大和へ向けた。
「知ってる。ログイン規制だろ?」
大和は慶の携帯へ目を通す事なく、そう答えると、いきなり席を立ち上がる。
「行くぞ」
鞄を手にとり、慶へそう声をかけると大和は歩き出した。
1時限目が終わり、2時限目まではまだ少し時間がある。
「行くって、どこに?」
「決まってんだろ」
慶が慌ててたずねると、大和は少し強い口調で答える。
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