vol.1 連帯保証人

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扉は、少し軋んだ音を生んで、素直に開く。 「ただいまー……っつても誰も居ないけど」 寂しい訳ではない。一人暮らし万歳!! 「ん?」 リビング兼寝床の部屋の明かりがついていた。 あれ? 朝消したと思ったんだけどな。 つけっぱなしは、非常に電気代と地球環境の無駄である。うん。 ドアノブを掴んで、ゆっくりと捻る。 泥棒だったらどうしよう。 しがない高校生には金なんかねーっつの。 ゆっくりと開いたドアの先には、「泥棒?」 顔をマスクみたいなので隠してて、黒いスーツに身を纏った難いの良い男達が居た。 「いや、あの、金目のモンなんかねっすよ」 「折原緋垣(オリハラヒガキ)君だね?」 スーツ男の一人がマスクを取る。 「まあ、一応折原緋垣ですが何か」 「単刀直入に言う」 「はあ?」 スーツ男が数人、俺の後ろに回り込む。「ちょっ?!」 「折原緋垣。敷島世界の死刑執行連帯保証人により、死刑執行を言い渡す」 「……はあ?」 回り込んだスーツ男は、俺の手に手錠を掛け、首もとに何かをつける。 「ちょっ、意味わかんねえし! 先ずあんたらは何者だよ! 不法侵入で訴えんぞコラ!」 「君はニュースを見ないのかね?」 「はあ? ……まあ確かにな。敷島のこと、あることないこと報道しやがるから、見る気にもならねえよ」 マスクを取ったスーツ男は、俺を鼻で笑い、残念だ。と呟く。 「条約改正により、死刑執行人が行方不明か死亡の場合、死刑執行連帯保証人の人間が代わりに死刑執行を受けるんだよ」 「……いや。それ位知ってるよ。現役高校生舐めんな」 「? じゃあ話は早い」 「俺が訊いてんのは、連帯保証人のことだよ。俺は敷島の連帯保証人になった覚えはねーっつの」 小さく体を動かし、抵抗の意を見せる。手錠が非常に鬱陶しい。 「みんなそう言うんだよ。折原くん」 「いや、嘘じゃねえよ。そんなのクールじゃねえし」 「クールじゃない、か」 また、俺を嘲笑って、マスクを取ったスーツ男は、ポケットから一枚の紙を取り出した。
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