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彼女達は雅也の顔を拝見すると、お互いに顔を合わせて微笑む。
「これからのご予定は、」
「……予定、…別に何も。…もう済ませましたから、今帰るところです」
彼女達の質問に、特に何も考えずに雅也は答える。返事を聞くや否や、彼女達は嬉しそうに声を上げた。何がそんなに楽しいのだろう、と、とうとう付いていけなくなって来たところで、彼女達は無理矢理雅也の腕を掴んで歩き出す。
反射的に振り解こうと腕に力を入れようとしたが、相手が女性で、しかも見知らぬ人物なだけに、雅也は固まるしか出来ない。
「あっの…俺、……」
「遊びましょうよ、貴方これから暇なんでしょう、」
「…えっ……と……そうですけど…でも…っ」
やっと何がしたかったのかが分かり、雅也は忙しいと嘘を付くべきだったと悟った。
強引に腕を曳かれては、どうする事も出来ずに、はっきりと言ってしまえば良いのかと思えど、泣かせてしまったら面目が立たない。何より女は……逆襲が怖い。
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