第二十一章

3/10
前へ
/381ページ
次へ
      彼女達は雅也の顔を拝見すると、お互いに顔を合わせて微笑む。 「これからのご予定は、」 「……予定、…別に何も。…もう済ませましたから、今帰るところです」  彼女達の質問に、特に何も考えずに雅也は答える。返事を聞くや否や、彼女達は嬉しそうに声を上げた。何がそんなに楽しいのだろう、と、とうとう付いていけなくなって来たところで、彼女達は無理矢理雅也の腕を掴んで歩き出す。  反射的に振り解こうと腕に力を入れようとしたが、相手が女性で、しかも見知らぬ人物なだけに、雅也は固まるしか出来ない。 「あっの…俺、……」 「遊びましょうよ、貴方これから暇なんでしょう、」 「…えっ……と……そうですけど…でも…っ」  やっと何がしたかったのかが分かり、雅也は忙しいと嘘を付くべきだったと悟った。  強引に腕を曳かれては、どうする事も出来ずに、はっきりと言ってしまえば良いのかと思えど、泣かせてしまったら面目が立たない。何より女は……逆襲が怖い。    
/381ページ

最初のコメントを投稿しよう!

791人が本棚に入れています
本棚に追加