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これは、妖精?
言って少し考え、我に返る。辻は今まで、科学的に証明できないものを目の前の新しい事実と照合させることなど、した試しもなかった。ましてやグリム童話の登場人物など、世界の埃の一部分に過ぎなかった。それなのに自分はどうしたことだろう。目の前にいる羽の生えた小さな人間を、"妖精"と呼ばなかったか?
しばらくして、"妖精"のうちの1人が辻に気づく。最初は驚いて逃げそうな素振りを見せたが、何を思ったのか、こちらに興味を示し始めた。
「辻…くん…?」
"羽の生えた小さな人間"は、辻にそう問いかけた。
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