プロローグ

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ここはあなたが今生きている時代から百年以上の年月が過ぎた世界。 宇宙人の襲来、環境汚染、資源の枯渇のせいで人口はピーク時の数パーセントとなり、一度世界は崩壊してしまう。 それはここ、日本も例外ではなく、国の端から端まで瓦礫に埋もれた廃墟となってしまった。 それからさらに何年もの時が過ぎて、日本は新たな国「新日本国」として蘇り、国の中心に人口の大半が集結した新たな首都「新東京都」を設置。 21世紀よりもはるかに進歩した技術のお陰で、復興・都市化計画は順調に進んでいった。 しかし、全ての人間が開発途中の都市に収まりきるはずもなく、多くの人々が瓦礫の街に住む日々が続いた。 その中で都市外に住む者を差別視する者が現われる。 その傾向は増加の一途を辿り、暗黙の奴隷制度が生まれた。 一度奴隷のいる生活に慣れてしまった都市内の人々は、それ以上都市化を進めようとはしなくなってしまった。 都市に住む者達は自らを都人【みやこびと】と名乗り、相対して都市の外の者たちは、廃墟に住む者、廃人【はいと】と呼ばれるようになった。 これは、この腐りきった世界で生きる廃人の男と都人の少女の物語である。
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