83人が本棚に入れています
本棚に追加
別にこんな物騒な仕事しか無いわけではない。
ここにはいくつかの窓口がありそれぞれが難易度別にクラスが設定されているのだが、美夜風が訪れているのが特に危険な仕事を取り扱うDクラスの窓口だからだ。
ちなみにDはDangerのDである。
この窓口で仕事を受けた者は大抵命を落とすのだが、美夜風があまりにしぶとく生き残るので係のおじさんの顔を覚えられてしまったのだった。
「この前宇宙生物駆除で酷い目にあったから出来れば避けたいんですよね……。その第一級指名手配犯の捕縛ってどんなのですか?」
「インナーシティに侵入した廃人が手当たり次第に人殺してこっちに逃げ込んだんだ。こっちはインナー警察の捜査外だからな。そいつを捕まえてこいってこった」
インナーシティとはこの国で都市化の進んだ地域のこと。住むのは都人かその奴隷として連れてこられたの廃人ばかりだ。
「こっち」というのはインナーシティの外、瓦礫に埋まったこの廃墟の街の事だろう。グレータウンも含めて人々はアウターシティと呼んでいる。
「それなら何とかなりそうですね」
「ただし、そいつのバックはインナーへの復讐を企てるおっかない人達が付いてるからな」
「あぁ……それは怖いですね」
美夜風は苦笑を浮かべてそう言った。
都人を恨んでいる廃人は多い。
インナー政府は都市化を進めると言いながら、ほとんど仕事をせず、廃人を奴隷として働かせながら自由気ままに暮らす生活を送っているからだ。
前まではインナーシティをもっと広げて、全ての人間がアウターシティから抜け出して人間らしい生活を出来るようにしようと都市化に励んでいたものだが、どうやら奴隷のいる生活に慣れてしまったらしい。
適当な理由を言って都市化を停滞させているが、結局のところ今の日常が変わるが怖いのだ。
最初のコメントを投稿しよう!