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ようやく明確な異変に気付いたのは、隅に生えていた椎茸を食べた翌日の朝食時のことだった。
その日の朝食は白米に若布と葱の味噌汁、特売していたアジの塩焼き、少しのお新香に期限が迫った安売りの納豆が付いた、いつもより幾分豪勢な食卓だった。
炊いた飯の量は尋常じゃない。米をおかずに米を食うといったタンパク質を過剰に摂取できる食事だ。神楽の将来が心配になった。
軌道を戻すと、俺の異変はこの食卓の準備中から明らかになっていった。
朝は珍しく日が天辺まで昇る前に起きだし、食事当番である新八が台所に立つ姿を尻目に応接用のソファーに腰掛け、結野アナの星座占いが始まるまでお目覚めテレビを内容を聞くでもなくただぼうと見ていた。
神楽はまだ寝床で惰眠を貪っている。台所で新八が神楽を起こすよう言ってきているが、気が乗らないので無視する。
そうこうしている内に四角い枠の向こうから結野アナの溌剌した声が響いてくる。が、なぜかそれがあまり耳に入ってこない。贔屓にしてるこのアナウンサーの為にテレビをつけたはずなのに。
気付いてみれば今日は何となく頭がふわふわする。といえばいつもとどこが違うのかと突っ込まれそうだが。いや髪の話じゃねーよ。
風邪でも引いたか?やはりどこかぼんやりした頭で天井を仰ぎ見た。
今日は夢見も悪かった。正直気分は地を這っている。鬱々としてジメジメした感覚。
いつもはこんな日があっても結野アナの笑顔だけで全部吹っ飛ばせるというのに、らしくない。
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