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◇
「いきなり倒れたと思ったらすごい熱があったんですよ」
「で?それは結局熱のせいだったのか」
「いや、それが・・・・その後すぐ熱も下がって、目が覚めたと思ったらもう、この有様でした」
「・・・・」
真選組上役3人の珍獣でも見るかのような目に一々肩を跳ねさせ、子供の後ろに隠れるように座る(当然のように乙女座り)保護者を見て、溜め息と共に新八は説明を締めくくった。
土方や沖田の妙に熱い視線だとか、諦観しきったような表情の子供達の雰囲気だとか、なんだかなま暖かい空気が立ち込める中、怖ず怖ずと近藤が再び質問を切り出した。
「じゃあ、原因っつったらそのキノコが怪しいな。それはもう、ないのか?」
「はい、銀さんが丸呑みしたもの以外生えてなかったんで。その後部屋も掃除しちゃいましたし・・・・」
「そうか・・・・。だがどんなものか分からない限り、治すにしたって難しいし、早く処置しないともしかしたら他に害が出てくるやもしれんからなぁ。真っ先に医者に行ってもらうか。一応万事屋を調べて手掛かりを探そう。まだ他にも心当たりがあったら言ってくれ」
「あ、はい、ありがとうございます」
いまだ銀時に熱視線を向ける獣2人に挟まれ、純粋に心配してくれる近藤が聖母にまで見えたが、普段が普段なため素直に褒められないところがこの男の残念なところだ。
と、銀時を観察していた土方が怪訝そうに呟いた。
「しかし今の話程酷いようには見えねぇな。確かに異常っちゃ異常だが、話ほど情緒不安定って訳でもねぇ。精々おどおどナヨナヨしてる程度だろ」
「そうヨ。熱下がった後は急に泣くことも、突然変な事言うこともほとんどなくなったアル。でも、変なことは変ネ」
「んー、もしかしたら少しずつ治ってきてるのかもしれんな。医者じゃないからなんとも言えんが、銀時の事だ、案外あっさり元に戻るかもしれないぞ」
「そうですね!銀さんのことだから寝たら治るかも」
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