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「良く聞いてくれた」
紗絵は腰に手の甲を当てて、偉そうに、エッヘンと言って説明し始める……
「今日、何時もの時間より早くに電車に乗ったの!
その電車、結構満員だったわけね。窮屈だなぁなんて思っていたら……」
紗絵の頭には今朝の出来事がリプレイされ、それに浸りながら語りを続けた。
「ドアに押し潰された紗絵の前に居た帝凛高校の男の子が『大丈夫か?桜花高校の女子生徒だよな?』って言いながら私を守る様に手をドア付けて、苦しく無いようにって」
紗絵はうっとりしながら、左手で左の頬に当てながら、目の前の詩織に説明するが詩織は、苦笑いで紗絵の隣に立っていた陽菜に視線を見やると、
「紗絵、石倉君はどうしたの?」
呆れた声で陽菜は隣に居る紗絵に視線と共に送ると、漸く自分の世界から帰ってきて、
「石倉君もイケメンだけど、進展ないし。帝凛高校の男の子の方がイケメンだし、石倉君飽きた」
「ほんと、紗絵って飽き性に惚れ性の上、面食いだよね」
詩織の前に座る菜穂が笑いながら、そう言って机の上に置いてあるポッキーの箱に手を伸ばす。
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