5人が本棚に入れています
本棚に追加
その少女にとってはまさに天の恵み。至高の逸品。
少女はこれまでにないケーキの量を目の前にして瞳を子供の様に輝かせていた。
「いやー、お嬢ちゃん運がいいねぇ」
店員が言う。
「宇宙福引きでケーキ食べ放題が当たるなんざ。めったに無いんだよ」
しかし少女には店員の言葉など届いていない。あるのは目の前のケーキに対しての羨望と嬉しさの感情だけである。
少女―――――――ミルフィーユ桜葉は小さく「久々のケーキ…」を繰り返していた。
「それじゃ、頂きま―――――」
早速、ケーキを一口、フォークに刺して口に運ぶ。それはミルフィーユの口の中を食道とを通り体の中の栄養へ還元されていく。
……はずであった。
「……え?」
何者かに右腕を掴まれたせいでケーキを口の中へ入れられなかったのである。
最初のコメントを投稿しよう!