プロローグ

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その少女にとってはまさに天の恵み。至高の逸品。 少女はこれまでにないケーキの量を目の前にして瞳を子供の様に輝かせていた。 「いやー、お嬢ちゃん運がいいねぇ」 店員が言う。 「宇宙福引きでケーキ食べ放題が当たるなんざ。めったに無いんだよ」 しかし少女には店員の言葉など届いていない。あるのは目の前のケーキに対しての羨望と嬉しさの感情だけである。 少女―――――――ミルフィーユ桜葉は小さく「久々のケーキ…」を繰り返していた。 「それじゃ、頂きま―――――」 早速、ケーキを一口、フォークに刺して口に運ぶ。それはミルフィーユの口の中を食道とを通り体の中の栄養へ還元されていく。 ……はずであった。 「……え?」 何者かに右腕を掴まれたせいでケーキを口の中へ入れられなかったのである。
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