溢れる水

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「俺さ、何か、考えてたんだよ」 哲が話す。 「ドラムを薦めたの、俺で。あの時、俺がドラムを薦めてなかったら、澤田はこんなにならなかったのかなって」 哲は、そんな事を言った。 「眞一は…ドラムが本当に好きだったよね。一生懸命、練習してたよ。哲がドラムを薦めたなんて、知らなかった」 「中学の時に音楽始めて、ドラムだけ、やる奴がいなくて…。澤田は体格もいいし、やってくれるかな~って声をかけたんだよね」 「音楽を、今でも続けてるって、私はすごいと思ったよ。なかなかうまくならなくて、よく悔しがってた。寧ろ、ドラムの面白さを哲が教えてくれて、眞一は感謝してるんじゃないかな?」 大好きなドラムを叩く、眞一を見るのも好きだった。 ライブもやっていて。 それなりにファンもいたりして。 音楽に対してはアンチ気味だった私だが、汗をかきながらドラムを叩く眞一の姿を見るのも、とても好きだった…。
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