溢れる水

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眞一の話をして、大輔と哲は帰った。 実は大輔と哲は、眞一と私と、同じ小学校だった。 そして大輔は同じクラスだった。 「もう、澤田と初めて会ってから、10年以上経ってるんだな」 と言った。 転入生だった、眞一。 私も転入生だった。 私は人付き合いが下手で友達がそんなにいないけど、眞一は友達が多かった。 眞一は、私には持っていないものを持っている。 「羨ましいよ」 「俺はそんな、大した存在じゃねぇよ」 眞一は、笑って。 「ふいに、後ろから抱きしめたくなったら、抱きしめていいのか?」と。 料理を作る、私の後ろから聞いてきたっけ。 「いつでもいいよ!」 私は笑った。 眞一は抱きしめてきた。 「包丁を持ってる時は…気をつけてっ」 「あぁ、そうか」 2人で、笑った。
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