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そんなまりをみて私は思う。
「別れちゃえばいいじゃん」
その言葉にまりの顔が歪む。
まるで今にも泣きそうに笑っていた。
小さな声が漏れる。
震えたような沈んだ声。
「そうだね」
その声に、私はさっきの発言を後悔する。
純情に人を愛するということはこういうことなんだろうと思う。
でも、そのときの私には何もわからず、何もしてあげられなかった。
「明日さ、サークルの新歓いかない?」
「新歓?」
話を必死でずらした。
苦し紛れの嘘。
サークルの新歓なんて知らない。
「明日土曜日じゃん?確か野球のサークルの新歓があったんだよね。行ってみようよ。いい男いるかもよ?合コンとかだとまりの彼氏に悪い気がするけど、サークルの新歓だったらいいわけになるじゃん。それにうちらいったことないし。そういうとこ。ちょっとは大学生らしいことしたくない?」
「いいけど…うちら二年生じゃん?今更恥ずかしくない?」
まりが少し笑った。
「大丈夫だよ。行っちゃえば一年生も二年生もわかんないって」
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