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新歓は例のごとく飲み会だった。
「みくです」
「まりです」
二人して精一杯のおしゃれをしていった。
周りを見渡すといかにも真面目な野球少年ばかり。
「場違いだったっしょ、完璧」
まりがため息をつきながら耳元で言う。
「まぁまぁ…仕方ないから今日は会費分飲みまくろうよ!」
「そうだよ。今日は飲みまくろうぜ。」
私の向かいの席に座った男の人は、他の人とはまるで違っていた。
辺りは坊主の汗臭い野球少年ばかりなのに、彼は甘い匂いがする。
長髪金髪のさらさらの髪の毛が揺れている。
左耳のピアスは5つ。
右耳にも2つきらめいている。
鋭い瞳がまっすぐに私を見つめてきた。
少し小さめのTシャツから筋肉質の腕が浮き出ていた。
すらりと伸びた細めの指でグラスにビールを注ぐと、私とまりの前に差し出してきた。
「はい…」
見とれたというよりは…
驚いた。
彼もまた私たちと同じように浮いていた。
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